「500系」の終焉
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新幹線500系は来年春で引退することが決まっているが、東京発がこの11月から1本になってしまうという。

500系は美しくかっこいい。これほど流麗な外観を持つ交通機関は多くない。車体断面は円形に近く、先端はかつてのジェット戦闘機F104のようにとがっている。細長い楕円形のキャノピーでおおわれた運転席のデザインは戦闘機のコクピットのようで、運転士が颯爽とみえる。
乗り込むとき、ドアを通過する瞬間、車体断面の丸さがことさら意識される。窓側に座ると壁面のカーブが頭上の空間を狭くしていて、まるで飛行機に乗ったようだ。

500系の登場と退場は時代を象徴している。はやく走るために居住性とエネルギー消費を犠牲にし、座席配置もほかと違うものになった。車体構造にも工夫をこらし、おそらく製造コストも高かったにちがいない。それらが今はすべて否定される状況になっている。エネルギー消費が大きく非効率的なものはすべて悪であり、エコこそが善であるという空気だ。まるでエコ原理主義みたいな気がしてくる。
その結果として夢のような流線型は消えてなくなり、車内空間を最大にしようとした結果の箱型車体と空気力学のみの追求の結果としてのかものはし型の先端デザインが生まれる。
しかし500系そのものが新幹線車両の進化の系統樹の中で「突然変異」した車体だったという気もする。これだけが飛びぬけている。実現したことじたいが奇跡だったのかもしれない。
デザインとしても時代は流線型を求めていない。流線型デザインはある時代の申し子であったにすぎず、これからははやらないということなのだろう。車もずんぐりしてきている。デザインのトレンドもそっちだ。
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by hatano_naoki | 2009-09-26 07:11 | 日日
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