国立社会保障・人口問題研究所という機関が今後の日本の人口の推移に関する予測を発表した。
2060年、つまり半世紀後の日本の人口とその世代別構成などを推計している。ここまではまあ科学的な作業であって、それなりに将来を予測しているということだと思う。 報告書の本体では、平成22年の国勢調査の時点で1億2800万人だった日本の人口は、2060年には8700万人を切ると予測されている。 ところでこの本体のあとに付け加えて、おまけのように控えめにもうひとつの予測が載っている。 2110年までの推計値、つまり100年後までの予測である。 こっちのほうは予測としては精度が落ちるのは自然のなりゆきで、100年先なんてパラメーターが多すぎて手に余るからほんの参考ですよというのが伝わってくるけれども、これによるといわゆる中位推計で2110年における日本の人口は4000万人をすこし超える程度ということになっている。 2060年の8700万人でさえ大変な減少なのに、2110年にはわずか4000万人。 ざっくりいって、50年後には現在の3分の2、100年後には3分の1にまで日本の人口は縮んでいくわけだ。 これはちょっとすごい。 4000万人の人口で、しかもその4割を65歳以上が占める100年後の日本は世界の中でどんな国として存在しているのだろうかとかんがえるとぞくぞくしてしまう。 そもそも独立国家として存続しているのだろうか。 アメリカはすでに衰退してしまってあてにならず、インドとともに世界の二大強国である中国の傘の下でかろうじて生き延びているのだろうか。 暗澹たる思いだ。 これでは国としてもたない。 その暗い未来に向けて、それほど深刻に思い煩うこともなしに日々をそれなりに楽しく送りながら、われわれは時代のジェットコースターに乗って突き進んでいるわけだ。 人口の問題というのは巨大な船の舵を切るようなもので、そのベクトルを急に変化させることはできないから、日本の人口の減少はまず避けられないのだろう。ゆっくりと衰弱していく老人のように日本はゆるやかに死んでいく。 人口減少の危機のなかで、中国や東南アジアから若年層の移民を受け入れるということが行なわれるかもしれない。 4000万人の若い移民を受け入れれば日本の若返りは一挙にすすみ、活力をとりもどすだろうが、一方で日本に住むひとの半数は中国か東南アジアからきたひとびととその子孫で占められるようになり、日本人という民族そのものもおおきな変容をとげることになる。 しかし高齢化が急速にすすんでいる中国は、その頃には若い移民を日本に供給する力がなくなっているかもしれない。すると頼りはインドだろうか。妄想はいくらでもふくらむ。 何十年か前にヨーロッパで街をゆらゆらと歩いてく老人たちをみながら、彼らはずいぶん衰退してしまったんだなと思ったものだ。その頃の日本はギラギラしていたがヨーロッパはすっかり枯れてみえていた。 しかし結局、問題は日本のほうにあったのだ。 さて、どうしたらいいのだろう。 現実的にかんがえれば、まず、未来予測などあたったためしがないと切って捨てることもできる。 そのうえで、結局われわれにはできることしかできない、国家の運命は常に歴史の腕のなかにあると覚悟を決めて生きていくということかもしれない。 日本という国家はいまや実に頼りないし、誰が将来を見透して舵を切っているのか、あるいはなにもしていないのかさえもわからない。たぶん舵は誰の手のなかにもないのだ。いやー困ったもんだね、日本はだめだねとかいいながら結局、自分も見物する側に座っている。 生存の瀬戸際で呻吟するまでにはまだすこし時間があるようだ。
by hatano_naoki
| 2012-02-01 12:22
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