沖縄勉強ノート(12)SPAM降臨
d0059961_8271912.jpgスパムというといまやスパムメールの方が有名になってしまったが、その命名の由来は食材のSPAM(ランチョンミートの商品名)である。どこにでもあふれていてうんざりするものというようなニュアンスらしい。

沖縄の食文化にとってアメリカによる統治の影響は決して小さくないが、その中でもSPAMはアメリカがもたらした代表的な食材といえるだろう。
ゴーヤーチャンプルーにはSPAMがよく合うし、ポーク卵やポークそばはSPAMがなければ存在しない料理だ。SPAMおにぎりはコンビニでも見かける。
私自身がSPAMに出会ったのはハワイに行ったときだった。日系のABCストアで見つけたのがSPAMをのせたおにぎりだった。おにぎりの上にちょっと塩味の強いランチョンミートをのせて海苔で巻いたもので、大きなにぎりずしのようだ。チープな味ではあるが実にうまかった。
ただし未確認だがハワイのSPAMにぎりは日系社会が産み出したものでその起源はおそらく戦前であり、沖縄とは関係がないのかもしれない。

SPAM(大文字)はSpiced hamの短縮形を意味する造語である。ミネソタ州オースティンに本社を持つHormel Foods Corporationが自社のランチョンミート製品に冠した名称であり、登録商標になっている。ちなみにランチョンミートとはミンチした豚肉を材料とするハムとソーセージの中間のような食品で塩味がきつい。沖縄には沖縄ホーメルという法人があって製造販売を行っている。それだけ需要が大きいということだろう。日本では(沖縄ではというべきか)減塩タイプが主流らしく、あるとき私の買った製品(輸入品)の名は「減塩スパム」で、「スパム・クラシックより25パーセント減塩」という表示があり、原材料名の欄には「食肉(豚肉、鶏肉)」という記載があった。
Hormel Foods CorporationのウェブサイトのURLはそのものずばりのspam.comで、サイトの内容もSPAM一色だ。このサイトによるとSPAMが登場したのは1937年。それ以来6億個を売ったという。
戦争による根こそぎの殺戮と破壊のあと、ようやく生き残った沖縄のひとびとの前にSPAMは降臨した。大量に供給されて安かったことと、おそらく沖縄の豚肉文化に合致したために広く受け入れられるようになったのだろう。
殺した者のもたらした食材を受け入れ、取り込み、自らの食文化に組み入れる。世界のどこでも当たり前のように見られることだが、それにしても人の心はふしぎだ。
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by hatano_naoki | 2005-12-16 08:27 | 沖縄勉強ノート
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