愛国者イチローの挑発
きのうのWBC日本-韓国戦は大変な盛り上がりだった。
日本の勝利は幸運ではなく実力だったと思わせる内容だったが、6戦無敗だったのに日本にだけ負けて決勝戦に出られなかった韓国からするとWBCの規則がおかしいということになるのかもしれない。
WBCを通じて興味深く感じられたのはイチローの発するメッセージだった。イチローはチームを鼓舞するためだろう、かなり過激な発言を繰り返しているが、韓国はイチローのことば、特に「30年発言」(向こう30年は日本に手は出せないなという感じで勝ちたいと思う、という発言)に過剰に反応している。この発言は韓国人の敵愾心に火をつけたようである。
イチローの発言は意図的なアジテーションだと思うけれども、30年という時間が日本による朝鮮支配の35年間を想起させ、それが韓国人をいらだたせた理由のひとつなのかもしれない。もっともこれは深読みにすぎるかもしれない。
もうひとつ、韓国はイチローのことばの背後に右傾化する日本を嗅ぎ取ったのかもしれない。イチローは日の丸を背負って試合することに興奮しているようであり、彼が語ることばはずいぶんと"愛国的"に感じられた。
国際的なスポーツ試合がナショナリズムの影響を受けるのは当然だが、日本のスポーツナショナリズムは世界的に見てかなり特殊だ。WBCでも日本チームが愛国心に燃えているとは見えないが、イチローだけが違って見える。輪郭のぼやけた、あいまいな、自分の意見の言えない、薄笑いを浮かべた日本人とは違って、ブーイングがすくないぞと相手を挑発するイヤな奴だ。これはすばらしいことだと思う。
個人的な資質の差、表現のしかたの違いともいえるが、イチローはアメリカ生活の中で"愛国者"に変貌していったのかもしれない。彼はおそらくひとりで考える男なのだ。
そしてもうひつ感じたのは、彼が一番語りかけたかった相手は祖国日本であって、日本人に対して「国を愛すること」についてのメッセージを送っていたのでは、ということだった。まるで三島のように。この国ではいまだ祖国を愛するという当たり前のことがむずかしい。

余計な話だが、見え見えのあの手この手で競争相手を妨害しようとしている(ように見える)アメリカサイドを見ていて、まるで古いアメリカのマンガ「トムとジェリー」みたいだと思った。フェアということ自体が幻想であり、えこひいきの中で戦うことが"アウェー"の試合なのだと、瞬間視聴率50パーセント超の日本人は学習したことだろう。

3月21日の追記。
日本は思いがけなくキューバに勝って世界一になった。偶然の勝利ではない。この勝利は日本人のマインドに大きなプラスの影響を及ぼすはずだ。低迷していた日本は復活するかもしれないと多くの日本人が思いはじめる・・・。
イチロー効果だろうか、このブログの訪問者数が今日は普段の10倍にもなろうとしている。
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by hatano_naoki | 2006-03-20 20:42 | 日日
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