SFマガジン600号
d0059961_14574946.jpgこの4月号でSFマガジンが創刊600号になるということで、分厚い記念号が店頭に並んでいた。
SFマガジンの創刊は1959年12月だという。私がこの雑誌を読み始めたのはおそらく1961年春だから、創刊から1年半も経っていない時期だ。
中学生になったばかりの私にとってのSFとは新しくておとなびた読書体験であるだけでなく、世界の見え方を変えてくれるほどの力があった。私がもっとも愛好した作品群は初期のソ連SFであり、レイ・ブラッドベリであり、日本人では光瀬龍だった。
そのころの世界は科学が作り出すであろう幸福な未来を信じていて、経済をふくむさまざまな拡大再生産を至上命題としていた。しかし私の前に広がるSFの世界は科学技術と文学を結びつけるだけでなく、そのさらに先にある世界を予言していたのである。
それから数年していわゆる純文学を読むようになった私はSFから離れていったが、SF的資質は私の内部で生き続けていたし、いまでも生きている。ただしそのころの狭くて特殊なSF的世界はあっというまに膨張して世界そのものとほぼ同義になっていった。あるいは世界を飲み込むことによって自分が消滅した。
いまSFという文学の一分野がどういう状況にあるのかわからないが、おそらく隆盛をきわめているとはいいがたいだろう。しかしいずれにせよ、SFは私の文学的揺籃であった。
600号記念号を買おうかと思ったがやめた。SFに戻ってゆくことはできないと漠然と感じていたからだ。
[PR]
by hatano_naoki | 2006-03-25 12:45 | 日日
<< 学術論文の電子化、ネット公開、... 渋谷駅前 >>