学術論文の電子化、ネット公開、そして・・・
asahi.comに科学技術振興機構が日本の学術雑誌を過去にさかのぼって電子化し、27日からインターネットで公開するという記事があった。湯川秀樹と朝永振一郎のノーベル賞受賞対象となった論文なども見られるそうだ。論文数は当初約3万で、戦前のものが中心だという。
これは実にすばらしいことだ。
私の知るごく狭い範囲の学問の世界でも、知の共有というものが実際にはいかにむずかしいかを感じる。大変な手間をかけて書かれた論文は学会誌とかごく小部数の出版によってひとにぎりの専門家の手に渡るにすぎない。皮相な見方をすれば知の独占が図られているとさえ感じられる。論文というものが知の公共財であるのなら、基本的に対価なしに流通させることが望ましい。
私はいくつかの博士論文・修士論文を入手する機会に恵まれたが、それは幸運にも論文の著者を知ることができたからで、そうでなければ手に入らない可能性が高かった。
論文は基本的に難解なものだが、市販本とちがって売れることを意図しない知的生産であって、その使命は真実に迫ることだ。よい論文には知的スリルがある。
論文の流通にインターネットは理想的である。仮に論文にできるだけわかりやすい解説と評価が付け加えられるなら、学術的な利用は当然のこととして、新しい読書体験を提供するに違いない。いまはやりの"ロングテール"ビジネスには恰好の資源となるだろう。
[PR]
by hatano_naoki | 2006-03-25 18:20 | ネットとデジモノ
<< eneloop SFマガジン600号 >>