沖縄勉強ノート(61)沖縄石油備蓄基地
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勝連半島の沖合、平安座島とその北東にある宮城島の間の埋立地にある沖縄石油備蓄基地(OCC)は国家の石油備蓄政策にもとづく民間最大の石油備蓄基地である。
もともとCTSと呼ばれていた石油備蓄・精製施設の建設は埋め立てと企業誘致による離島振興策として計画され、ガルフ社の石油精製を主体とした工業地域がイメージされていた。
計画は1972年に始まり、迷惑施設誘致の際の常套手段として勝連半島から平安座島、宮城島、伊計島を結ぶ海中道路が建設された。
CTS建設にあたっては反対運動が起こり、賛成派と反対派の対立が起き、漁業権をめぐる問題も起きた。反対運動が拡大した背景には公害反対と自然保護という時代の流れがあり、石油基地構想が沖縄と本土の関係の象徴としてとらえられていたという側面もある。
反対運動はその後の裁判敗訴を経て下火になり、現在では企業側と住民とのあいだに一定の良好な関係があるようだ。
沖縄での石油備蓄と精製については公害の源を沖縄に押し付けたというような批判が展開されたことは想像に難くないが、実際のところ沖縄での立地は採算面からは得策ではないという意見もあったらしい。それにもかかわらずCTSの設置が決まった理由はなんだったのだろうか。
日本の石油備蓄は国家備蓄と民間の義務的備蓄に分けられるが、2004年12月現在で国家備蓄91日分、民間備蓄81日分。これは他国と比較すればかなり潤沢な備蓄だ。
当初は民間への備蓄義務でスタートし、国家備蓄が増えるにしたがって民間の備蓄負担が軽減されていくという経緯をたどっている。
国家石油備蓄基地は民間とはちがい備蓄に特化した施設で、最大の苫小牧東部(542万kl)、むつ小川原(492万kl)、志布志(439万kl)など10ヶ所。備蓄方式には地上式、地下式、地中式、洋上式がある。久慈の施設は地下にトンネルを掘って備蓄する方式。幅18m、高さ22m、長さ540mのトンネルを10本掘った。上五島石油基地は洋上(といっても島と島のあいだ)の防波堤内に長さ390メートル幅97メートルの貯蔵船5隻を配置している。秋田国家石油備蓄基地は埋立地の地中タンク方式である。
エネルギーの確保は国家の安全保障の根幹であるにもかかわらず、日本が綱渡り状態でエネルギー資源を手に入れているという現状への想像力が衰えている。
石油備蓄が1か月分しかない中国はなりふりかまわず日本の排他的経済水域近くでの油田掘削に走るが、これは中国にとってみれば国家としての生存をかけた戦いだ。アセアン諸国は国家備蓄がないという。
あれこれ考えるうち、石油備蓄からエネルギー政策そのものへと関心が広がってゆく。

日本の石油備蓄の拡大(経済産業省)
日本の石油・LPG備蓄の現状(資源エネルギー庁)
石油の備蓄(石油情報センター)
久慈国家地下石油備蓄基地(久慈市)
秋田国家石油備蓄基地
上五島石油備蓄基地
石油連盟

(写真:左から勝連半島、平安座島、宮城島、伊計島。平安座島と宮城島の間の埋め立て地には石油備蓄基地のタンク群が見える)
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by hatano_naoki | 2006-04-01 07:57 | 沖縄勉強ノート
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