「環境と文明の世界史」を読む
d0059961_1881237.jpg○○さん
教えていただいた「環境と文明の世界史」を3分の1くらい読んだところです。
みかけとは反対に情報量の多い本で、しかも本質的な指摘がぽんぽんと投げ出されるように出てくるので消化するのが大変であることが読み始めてすぐに分かったのですが、そのときにはもう遅い。
おそらく本書の内容を理解するにはすごい量の専門書を読みこなす必要があり、その意味では読書案内としても役立つのでしょう。
私には本書をより深く理解するために100冊の専門書を読む時間も能力もないので、はやくもあきらめています。
内容は、駆け足ではありますが、人類のはじまりから現代、そして将来までもカバーして目もくらむ思いがします。こういう視点で人間の営みを鳥瞰しておくこと自体が、今の時代には批評的行為となりうるのでしょう。
いわゆる定説をくつがえす、あるいはくつがえすプロセスが見える場面がいくつもありますが、この部分は特に刺激的です。
現代の科学にてらしてできるだけ具体的な数字をあげる姿勢もすばらしい。
これまでの進化の過程で(具体的には14500年前頃)危機に瀕した人類が推定40人にまで減少していた可能性があるとは!
タイトルは環境をキーワードにしているようですが、内容は世界史(はっきりいえば史観)そのものについての広範な議論という感じに見えます。
スタイルとしては鼎談(ていだん)であり、それゆえ肩のこらない座談の楽しさもあり、また最新の知見に関する専門家の会話を立ち聞きしているようなスリルもあります。
それでは・・・気楽でかつ真摯な座談の立ち聞きをもうすこし続けてみたいと思います。
あ、あともうひとつ。
この本は企画の勝利です。こういう企画を立て、座談に加わる人物の思想や相性を見定め、脱線しがちな会話を新書という制約の中へとまとめていった編集者を褒めるべきでしょう。
すばらしい仕事だと思います。

「環境と文明の世界史」石弘之・安田喜憲・湯浅赳男著、洋泉社
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by hatano_naoki | 2006-05-21 18:36 | 日日
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