空(くう)に書く(つづき)
まだ書き始めてはいない。
しかし事実上書き始めている。文字にしてはいないが、作品の色と感触の間合いをはかっているというような感じ。あるひとが作品を読むとき、もちろん書かれた内容を読むわけだが、読みながら感じるのはその作品を流れる空気とか、肌触りとか、重さとか速さとか、空間のひろがりとか、さまざまに形作られた作品の世界そのものだ。
今の私の場合、単純にいって書くことはできると思えるけれども、それらの文章の連なりの作り出す世界をどうするかという一点で立ち止まっている。今まではまず書き、文章の連なりが表れてきてそこから漂う雰囲気や作品世界(そんなものがあるとすればだが)がどんなものかを自分自身も発見するのだった。どのようなやりかたがベターかという逡巡ではなく、今度はまず作品全体を流れる空気をある程度デザインしたいという気分でやっている。
そこで、いきたりばったりで書き始めるやりかたをしたくないというのは決定事項だとして、"作品全体を流れる空気"などというものをどのようにしてデザインすればいいのだろうか?文体、立ち位置、そしてカテゴリー意識。私の場合、現時点での問題のひとつは、書かれたものがごく少数の関心しかよばないことだろう。普遍性がかけているということかもしれない。いずれにせよ、どんなものができあがるかをイメージできるようになるまで、立ち止まって思いをめぐらす日々が続く。それはなかなかすばらしい日々でもある。
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by hatano_naoki | 2006-11-25 22:20 | 日日
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