書き出しのこと
本屋をぶらぶらしていたら、「ミステリの名書き出し100選」という本が目に入った。
そこでページを繰っていくつかの作品の書き出しを読んでみると、それらはどれもなかなかにふくみがあり、あるいはその後に展開する物語を予感させるのだった。
そう、どんな本であれ、書き出しは大事だ。シンプルで印象に残る書き出しでひとつの物語を始めたいと願う。ただし、書き出しを重視しすぎるのは好きではない。そこで思ったのだが、最初の一行を書くというのは、やはり文章を書く人間にとって特別の儀式みたいなものだ。

小説の冒頭の部分で、好き、というか印象に残っているもののひとつは、倉橋由美子「パルタイ」である。
「ある日あなたは、もう決心はついたかとたずねた。」
この冒頭部分はこの小説の(そしてその時代の)空気というか匂いというか、そういうものの象徴となっている。
これから私が書くものはそれほ「ど文学」するわけではないけれども、それでも個性的な文体で印象深い書き出しではじめたいという意識はある。ただし、いくら「名書き出し」を読んだからといって模倣が無意味なのもわかっている。これこそは作者の肉そのものであるからだ。
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by hatano_naoki | 2006-12-02 15:22 | 日日
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