田中長徳著「GR digital work shop」を読んでいる。読むというよりも耽溺しているというのが正確かもしれない。この本はなかなかよくできているし、文章もそれなりに読める。私がこれまでに愛読した「モノを愛でる書物」の系譜に属しているのは確実だ。それはたとえば私がずっと昔AppleIIeを買う前に読んでいたアップルIIについての本とかに似て、モノにまつわる精神にも言及してはいるけれども、深く深くモノあるいは道具そのものについて語っている。
モノについて語るということは、たとえば私がかかわってきたカンボジアとか、関わろうとしている沖縄とかについて語るのとはずいぶん違った世界を見せてくれる。まず軽々としている。それから留保や弁解がない。ストレートにモノについて語り、語られるモノがすばらしいという絶対的な了解のもとに成立する世界。そこでは複雑な世界を語ることから遠く離れて、純粋なモノと自己の関係を語れば済む。実にすっきりした透明な世界だ。そこではまたそのモノがすばらしいということを前提とする価値の体系が明快に存在している。神が生きている。だから救われる。 GR Digitalはとてもいいスナップカメラだと思うし、またその手に持つ小さな機械としてのセクシャルな雰囲気が飢餓感を誘う。ほしくて仕方がないが、今日はCaplio GX100という新機種が発表されてこれはこれで魅力的だ。 追記。 最近は大きくてゴロゴロするデジタル一眼よりもGRDやCalpio GX100といったコンパクトな高性能機に魅力を感じる。それは要するに旅が身軽になるだけでなく周囲から自分が突出する度合いが小さくなるからで、心理的にもずいぶん違う。目立たない旅人になれるのだ。 Caplio GX100は電子ビューファインダーが付けられるし、なかなか楽しいカメラのようだが、今のところはやはりGRDの方が魅力的に感じられる。これ1台で旅にでたらそれはそれは楽しいだろう。
by hatano_naoki
| 2007-03-28 18:40
| カメラと写真
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