思考の星雲(9)
なにかモヤモヤしたものが頭の中にあるのだが、それがなかなか形にならず姿を現さない。そのような気分が梅雨空のように続いている。
このモヤモヤを好意的に解釈するなら、なにものかを作り出す前に経験するモヤモヤと同じ種類であり、批判的に見ればただの怠惰だということになるのかもしれない。
動き出す前にこのような状態になることがある。いつもというわけではない。思いつくと同時にからだが動いている場合もあり、自分で何をしたいかがわかる前に動いていることすらある。しかしそうでない場合もあって、そうなると次のステップに踏み出すまでに長い時間がかかる。
熟慮とは違うが、単なる逡巡でもない。もしかしたら存在しないかもしれない創造の芽の上空をとりとめもない思考がガンシップのように旋回する。
あと幾晩か寝たらそのあとで頭の内部は整理され、もやは晴れ、すっきりと整理されたイメージの森が見えてくるのだろうか。
あるいは見え隠れする創造の尻尾をつかみそこねる何ヶ月か何年かのあとで、結局何も作り出せないで終わるのだろうか。

(注)
d0059961_0201713.jpgこの文中に登場する「ガンシップ」とはベトナム戦争で使われた重武装の攻撃機、AC-130をイメージしている。AC-130は輸送機であるC-130をベースに、初期型では主武装として20mmバルカン砲4門を装備したが、その後40mm機関砲や105mm榴弾砲までも搭載するようになった。なおAC130は現在もアフガニスタンで使われているという。
ガンシップは目標を捕捉するとその周囲を低空で旋回しながら攻撃する。火器は機体の片側(上から見て左側面)のみに装備されており、パイロットは機体を傾斜させ、これらの火器が目標を捕らえ続けるように旋回軸を決定する。
私がガンシップの存在を知ったのは『ガンシップ』(ヘンリー・ジーベル著、江畑謙介訳、1993年光文社刊)でだった。ベトナム戦争におけるこの攻撃兵器の主な対象はジャングルにおおわれたホーチミンルートをたどる北ベトナムの輸送部隊であり、攻撃は主に夜間に行われたらしい。獲物の周囲を低空でゆっくりと旋回する重武装のプロペラ機の異様なイメージは今も私の内部に棲んでいる。

写真:AC-130(from Air Force Link) 写真は拡大できます
参考:AC-130H Spectre/AC-130U Spooky
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by hatano_naoki | 2007-07-02 20:27 | 日日
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