美しい軍人
テレビ東京の『日高レポート』をときどき見ている。
日高義樹氏による米軍の最新動向についてのレポートは、米軍のCMみたいな気がしないでもないが、基本的には刺激的で面白い。
この番組には米軍の誇る最新兵器がいろいろと登場する。兵器というのはひとを殺す装置だが、同時にある種の美しさを持っているし、その兵器の威力が大きければその美しさも際立つ。たとえばB2やF117などのステルス機や大型原潜の迫力と美しさは言いようがない。兵器の美しさはその兵器の機能が効果的な大量殺戮にあることを一瞬忘れさせ、あるいは殺戮ががまるで夢の中のできごとであるかのように思わせる。この番組に米軍が期待しているもののひとつは米軍の持つ兵器の美しさをアピールすることかもしれない。
『日高レポート』に登場するアメリカの軍人にもある種の美しさがある。その美しさの源は彼らがその任務を誇りに思っていて一点の疑いもないことだ。その肉体は研ぎ澄まされており、言語明瞭である。彼らがなぜそのように見えるかといえば、それはおそらく彼らが軍の中のエリートであることが最大の理由だろう。『日高レポート』はイラクで疲れきり厭戦気分にとりつかれた末端の兵士を登場させない。カメラの前に立つのは海軍特殊部隊の指揮官とか、原潜乗り組みの高級士官とか、F22のパイロットといった選りすぐりのひとびとだ。
そうはわかっていても、彼らに美しさを感じる自分を不思議な気持ちで見ている。精緻で巨大な兵器システム(=現代においては破壊をつかさどる神そのもの)を操るひとびとのメンタリティは想像することもできないが、彼らが悩むことは危険だから、その日常には悩まないためのさまざまなしくみが組み込まれているに違いない。原潜の乗組員の食事は豪華だそうだが、それも彼らが悩まないためのしくみの一部であるはずだ。
悩まないしくみは軍隊以外にも存在するが、軍隊においてはその極限の姿が見られるのだと思う。そう考えると、彼らの美しさは凍った美しさだと思いあたるのだった。
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by hatano_naoki | 2007-09-16 19:30 | 日日
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