カテゴリ:日日( 217 )
ひとりで酒を飲む
JR新宿駅の東口地下改札を抜けて左に曲がってすぐのところ、ルミネエストの地下1階にあたるところにベルクという小さい飲み屋がある。
店にはとりたてて特徴はないが、あえていうならイギリスやドイツの飲み屋を思わせる洋風で、メニューにはソーセージやキッパーヘリングとかがあり、いつも混んでいる。
こういう立地からしても静かに飲む場所ではないし、立ち飲みで済ませる客も多いが、下品に騒ぐような輩はみかけない。
もとは純喫茶だったそうで、その開店は1970年だそうだ。そのせいか、昔の新宿の左翼的な飲み屋の残り滓がここに集まっているのかどうかはわからないけれども雰囲気的にはそれらしい要素があるような気もする。しかし客たちはそういうことには関心がなくて、単に安くて居心地がそこそこいい普段使いの飲み屋として評価しているようだ。
店は立ち退きの危機にここずっとさらされているようで、しかしまだなんとか生き残っている。
たまにこの店にいくときは、ほとんどの場合はひとりだ。
せまい店にうずまくひとと酒とそれらに包み込まれた会話の混沌のなかで、黙ってひとりきりで酒を飲むのは人生におけるよろこびのひとつだが、実のところわたしにとってひとりで飲んで居心地がいい空間は多くはない。なごんでひとりで飲める場所は広い東京でも(わたしとの関係において)まれなのだ。
しかし、他人と飲むのがきらいだといっているわけではない。
それはもちろんのことすばらしいが、ひとりで飲むという行為にまつわるなんともいえない愉悦があるということを強調したいのだ。
周囲のにぎやかなひとびとの存在は自分がひとりでいるという事実を際立たせる。自分がその場にひとりで存在していることを、下線を引いて強調している。
そういう状態でざわめきを味わうのは本質的に人生そのものをあじわうことなのだと、ビールをもう一杯飲もうかどうか思案しながら思っている。しかし、人生を味わうという行為を追求するまえにいつもアルコールが回ってしまい、自分自身がその場の混沌に溶け出していって消えてなくなってしまったようにかんじられてくる。
あとに残るのは弛緩した思考のぬけがらとおなじように弛緩した肉体だ。
まあそれでもいい。ひとりきりで飲むのはあいかわらず楽しいのだから。
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by hatano_naoki | 2012-04-22 17:54 | 日日
ひさしぶりに国会図書館
昼をはさんで数時間を国会図書館ですごした。しかし座って本を読んでいたわけではなくて、というかほとんど座ることはなくて、借りだし、コピー、返却を繰り返していた。
こういう行動に別の階にある地図の借りだしとコピーが加わると、館内における移動距離はばかにならない。1万歩くらい歩いたんじゃないかと思えるほどだ。
ここしばらくごぶさたさしていたらシステムが新しくなっており、自分用のカードで入館し、借りだし、コピーも申請するようになった。
館内のシステムは亀のようにゆっくりと動き、そのあいまにかんがえごとをする余裕を与えてくれる。
これは、(住宅地の道路にわざとカーブをつけるように)図書館というものは早足で歩き回るような場所ではないことを教えるために意図的にもうけられたのにちがいない。
しかしどんなしくみであれ、衝突と忍耐のあとで自然に慣れていくものだから、この国会図書館のシステムもすぐになれてなにもかんじなくなるはずだ。
それにしても、こういうすごいシステムがつかさどる図書館はコンピュータにうとい老人をどうかんがえているのだろうかと余計なことまでかんがえてしまった。
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by hatano_naoki | 2012-04-21 16:24 | 日日
暗澹たる未来?
国立社会保障・人口問題研究所という機関が今後の日本の人口の推移に関する予測を発表した。
2060年、つまり半世紀後の日本の人口とその世代別構成などを推計している。ここまではまあ科学的な作業であって、それなりに将来を予測しているということだと思う。
報告書の本体では、平成22年の国勢調査の時点で1億2800万人だった日本の人口は、2060年には8700万人を切ると予測されている。

ところでこの本体のあとに付け加えて、おまけのように控えめにもうひとつの予測が載っている。
2110年までの推計値、つまり100年後までの予測である。
こっちのほうは予測としては精度が落ちるのは自然のなりゆきで、100年先なんてパラメーターが多すぎて手に余るからほんの参考ですよというのが伝わってくるけれども、これによるといわゆる中位推計で2110年における日本の人口は4000万人をすこし超える程度ということになっている。
2060年の8700万人でさえ大変な減少なのに、2110年にはわずか4000万人。
ざっくりいって、50年後には現在の3分の2、100年後には3分の1にまで日本の人口は縮んでいくわけだ。
これはちょっとすごい。

4000万人の人口で、しかもその4割を65歳以上が占める100年後の日本は世界の中でどんな国として存在しているのだろうかとかんがえるとぞくぞくしてしまう。
そもそも独立国家として存続しているのだろうか。
アメリカはすでに衰退してしまってあてにならず、インドとともに世界の二大強国である中国の傘の下でかろうじて生き延びているのだろうか。

暗澹たる思いだ。
これでは国としてもたない。
その暗い未来に向けて、それほど深刻に思い煩うこともなしに日々をそれなりに楽しく送りながら、われわれは時代のジェットコースターに乗って突き進んでいるわけだ。
人口の問題というのは巨大な船の舵を切るようなもので、そのベクトルを急に変化させることはできないから、日本の人口の減少はまず避けられないのだろう。ゆっくりと衰弱していく老人のように日本はゆるやかに死んでいく。

人口減少の危機のなかで、中国や東南アジアから若年層の移民を受け入れるということが行なわれるかもしれない。
4000万人の若い移民を受け入れれば日本の若返りは一挙にすすみ、活力をとりもどすだろうが、一方で日本に住むひとの半数は中国か東南アジアからきたひとびととその子孫で占められるようになり、日本人という民族そのものもおおきな変容をとげることになる。
しかし高齢化が急速にすすんでいる中国は、その頃には若い移民を日本に供給する力がなくなっているかもしれない。すると頼りはインドだろうか。妄想はいくらでもふくらむ。
何十年か前にヨーロッパで街をゆらゆらと歩いてく老人たちをみながら、彼らはずいぶん衰退してしまったんだなと思ったものだ。その頃の日本はギラギラしていたがヨーロッパはすっかり枯れてみえていた。
しかし結局、問題は日本のほうにあったのだ。

さて、どうしたらいいのだろう。
現実的にかんがえれば、まず、未来予測などあたったためしがないと切って捨てることもできる。
そのうえで、結局われわれにはできることしかできない、国家の運命は常に歴史の腕のなかにあると覚悟を決めて生きていくということかもしれない。
日本という国家はいまや実に頼りないし、誰が将来を見透して舵を切っているのか、あるいはなにもしていないのかさえもわからない。たぶん舵は誰の手のなかにもないのだ。いやー困ったもんだね、日本はだめだねとかいいながら結局、自分も見物する側に座っている。
生存の瀬戸際で呻吟するまでにはまだすこし時間があるようだ。
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by hatano_naoki | 2012-02-01 12:22 | 日日
Google+のAKB48
Google+のAKB48をフォロー中。
現在フォローしているのは一部のメンバーだけだが、それでも彼女たちの意識や存在のしかた(らしきもの)は伝わってくるし、ほとんど答は返ってこなくともコメントのかたちで関わろうとするたくさんのファンの思考や行動が垣間見えてそれもおもしろい。
基本的にはおなじ時間を共有したいという意識。その意味ではコメント欄は多分にチャット的だ。深夜に同時間を生きるために睡眠時間を削り、睡眠不足で朝を迎えるファンがすくなくないにちがいない。
AKBのメンバーが終日、ほぼリアルタイムで行動の報告を書き込み、それにファンがコメントする。かんがえてみるとこれはかなりすごい。

彼女たちは舞台から降りてもファンの目にさらされている。そういうなかで、Google+上にもうひとつのAKB劇場が生まれ、まさに劇場型の空間が形成されてきている。こちらの劇場はいうなれば楽屋裏だが、外部に露出しているから表ということもできる。
ところで、こちらの劇場には台本がなく演出もないから、そこが危うい。
多数の十代二十代の女の子たちが自由に書きこむなかで、なにか起きるかは本当のところはわからないし、ちょっとしたことであっても大事になる危険性が内在している。
携帯で撮った写真をメンバーがアップロードするとあっという間に4万5万のアクセスがある世界なのだ。

最近はGoogle+上でのAKB関連の動き(具体的には秋元プロデューサーの発言とか)を報道に載せる大手メディアも出てきている。
そればかりでなく、無数のマスコミ関係者、いわゆる業界関係者、それからもっともっと怪しい連中までがネタを探してのぞき見しているにちがいない。
彼らがもっとも好むのは下世話なスキャンダルの匂いであり、そこにもっとも簡単にアクセスできるチャンネルとしてGoogle+のAKBが認知されているということだと思う。
Google+自体が危うい世界であるとは思わないが、AKBであるからこそ危うい。そういう場の緊張感はなかなかだ。しかしメンバーの彼女たちはなにも知らないふりをして無邪気なやりとりをつづける。そのあたりがどの程度意識されているかは、外から見たかぎりではわからなかった。

Google+上のAKBコミュニティからはまだスキャンダルは起きていないし、場の破綻も衰退もかんじられない。なにしろはじまったばかりなのだ。
しかしハラハラする。先はわからない。これからなにが起きるのだろうか?
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by hatano_naoki | 2012-01-30 22:22 | 日日
巨食症との遭遇
ある薬を短期間だけ服用した影響だと思うのだが、一時的に猛烈な食欲にとりつかれたようになった。

わたしの場合、ふだんの食生活はだいたいつぎのようなかんじだ。
朝起きて普通に朝食を食べる。パンとサラダとスープというような内容で比較的軽い。和食の場合もあるが軽めだ。
本当は重い朝食が好きで、とんかつだろうがうなぎだろうがOKで、むしろそういうのが好きなのだが、出されたものに不満はない。
ふつうなら次は正午あたりに昼食にする。重いことも軽いこともある。量は成人男性としてはすくないほうだろうと思う。
夕食は、時間は日によってちがう。六時から九時のあいだというかんじだろうか。米はふつうの茶碗に一杯程度しか食べない。

ところが、薬の副作用はすごかった。
ある日曜の場合はこんな具合だ。
七時、出された朝食を食べる。
だがなんとなく満足感がないので九時頃にやきそばを作って食べる。キャベツ多めで肉がちょっと入ったシンプルなやきそばだ。
十一時、今度は最近はまっている親子丼をつくる。冷凍してある鶏の胸肉を解凍し、たまねぎを切って鶏肉と一緒にできあいの出汁で煮て、卵でとじるという簡単調理だが、信じられないくらいおいしくかんじる。店で出てくるようなどんぶりにごはんを多めに入れ、たまねぎもたっぷりで、食後には満腹感で陶然となる。
午後一時、小腹が空いたというかんじでポテトチップスとコカコーラ。チョコレート。
午後五時、夕食までまだ時間があるので、お茶漬けをつくって食べた。
そして午後七時すぎ、やっと夕食。食後のデザートにはプリン。
午後十一時、またもポテトチップス。

衝動としての食欲とのはじめての遭遇。暴力的な食欲とでも表現できそうな、自分の食欲を制御できないという状況に直面したのははじめてだったかもしれない。
自分が暴走していることははっきりわかっていた。
しかし異常な食欲の原因が薬にあり、決して心理的な葛藤やそのほかの人間の闇から生まれてくるのではないと知っていたから、そういう状況はながくはつづかないはずだと思い、食欲をめぐる状況はかっこうの観察の対象となった。自分の状態に興味津々だったのだ。
まず、満腹感がない。というかいくらもつづかない。食べた直後はたしかに満足するが、すこし経つと普通の状態にもどり、こんどは空腹へと急降下する。
するとたべることばかりかんがえている。
そして食欲があるだけではない。
なにをたべてもうっとりするほどうまい。ちょっと狂気をかんじるほどだ。実際、みじかい時間であれ、狂気のなかにいたのかもしれない。

なにを食べてもおいしく、それも狂おしいほどにと表現しても過剰ではないほどの食欲にとりつかれたみじかい日々がおわると、食欲はすこしずつ元にもどっていった。はげしい食欲は翳り、色あせ、やがて消えてなくなった。
それからいくらも経っていないのに、思い出してみると、なんだか日差しの強い南の島にほんの何日かだけ行ってきて、その記憶を懐かしんでいるような気分だ。

ところで。
あれは本当に薬の影響だったのだろうか。
きつねがついていたということはないのだろうか。そうかんがえると、あれはきつねだったのかもしれないと思えてきた。
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by hatano_naoki | 2012-01-28 14:54 | 日日
長崎神社
椎名町駅前にあるマクドナルドの2階からすぐ前にある長崎神社を見ていると、ときおりひとが入っていく。
入口にある石の鳥居の手前で立ち止まって、ていねいに一礼してから鳥居をくぐるひとも少なくない。
それも老人ばかりでなく、中年くらいの年齢のひともいる。いや、20代の女性すらきちんと一礼してから入っていく。
日本人て意外に信心ぶかいんだという思いがけない大発見。
というか、オレがとんでもなく不信心ということかもしれない。
神さまはいるんだろうか。
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by hatano_naoki | 2012-01-28 09:57 | 日日
ある写真サイトのこと
ネットで定期的に見に行くのはいわゆるニュースサイトが多いが、それ以外にも不定期に行くサイトがいくつかある。
たとえば写真サイトのいくつかには思い出したように行っている。どれもアマチュアでネット上でも特に有名というわけではないと思うし、どういう経緯で知ったのかも忘れてしまっているが、要はそのひとの撮る写真やサイトの雰囲気が気に入っているということなのだろう。
そんな具合で何年もすぎていくうちに、写真から作者の人生がにじみだしているとかんじるようになってきた。
ネットでは自分の日常を過剰に(と思えるくらい)露出するタイプのひともいるし、逆に一切生活を見せないひともる。わたしの見ている写真サイトの作者たちは露出好きのタイプではないと思うが、しかし一連の写真を見ているとそのときどきの感情とか、暮らし方がなんとなくわかってしまう。そしてある作者について気になっているのは、実はそのひとが離婚したかどうかなのだ。
だいぶ以前、何年もまえ、そのひとはある女性と結婚する直前で、それから結婚した。ここまではたしかだ。だがその後、どこかの時点で彼は離婚したのではないか。これはそのひとの写真の傾向の変化からの推測だ。
あんなにしあわせそうだったのになにがあったのだろう。そのひとと会ったこともなく、もちろんなんの関係もないわたしは最近掲載された一枚の写真をみながら思う。
こういうのはわたしにとっては感情のムダ使いかもしれない。そのサイトから他に移動すればたちまちそのひとのことは忘れてしまうのだから。
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by hatano_naoki | 2011-11-03 07:48 | 日日
ジョブズ
きょうの米アップルのサイトのトップページは美しい。
白い背景とジョブズの肖像。シンプルでアップルらしい。
いいデザインだ。
1984年頃のこと、appleIIeという8ビット機を買う気になった理由のひとつは、アップル社をめぐるいい雰囲気だった。小さかったのだ。
その頃のアップルにはガレージカンパニーのイメージが残っており、そのロゴマークはラブ・アンド・ピース的なヒッピーイズム的な残滓をひきずっているようで、悪の巨人IBMに立ち向かう英雄というかんじもあった。
わたしの印象としてはappleIを作った中心人物はウォズニアックだと思っていたのだが、経営でも製品開発でも映像コンテンツの制作でも成功をおさめることになったから、ジョブズはその後大化けしたことになる。
appleIIの時代は好きだったがMacになってからは「微妙」だった。だがMacは何台も使った。その後、アップルが巨大化して「支配者」になるにつれて嫌いになった。いまも好きではない。製品はすばらしいといえるがその完成度が気に入らない。
昔のジョブズは若かったが、アップルサイトのトップページにいるジョブズはもう若くはなかった。それだけ時間が経ったのだ。

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by hatano_naoki | 2011-10-06 17:33 | 日日
探偵と老人
マクドナルドの隅の席に向かい合った男ふたり。
声が異様に大きい三十代くらいの方は探偵で、もう一方の老人は投資詐欺にあって金をとられた被害者だと、聞こえてくる話の内容からすぐにわかった。
こういう事件はマスコミ経由ではよく聞いているが被害者の実物を見るのははじめてだ。ははん、こういう人物が、いくらだか知らないが、欲の皮が突っ張ったために少なからぬ額を失いかけているのだなと思いながらその人物の服装とか風体とかをうかがっている。たいして金持ちにはみえないがこういう人物が実は金を持っているのだ。勉強になった。
話の内容からすると犯罪は完成していて、おそらく金は戻ってこないだろう。しかし探偵は金を取り返せると力説している。ほんとうだろうか。わたしには無理に思えるが、探偵はこういう事件のプロだといっているので彼の判断が正しいのかもしれない。
探偵は彼の会社に依頼するようくりかえし促すが老人の態度はいまひとつはっきりしない。自分が被害者であることがわかっているのにそれを直視したくない、認めたくないというふうにもみえる。欲が生んだ失敗を人間は認めたくないものなのだ。また勉強になった。
こういうやりとりが際限なく繰り返されるうち、やがて彼らがふたりそろってわたしの脳髄にぐいぐいと入り込んできて居座ってしまった。迷惑なはなしだが聞き耳を立てていたわたしが悪い。
だがちょっと見たかぎりでも大声での会話はわたしだけでなくまわりの客たちに影響を与えはじめているようだ。彼らもまた脳内に住みついてしまったこの事件の細部に興味を持ちながらも辟易しているのがかんじられる。会話は彼らの周囲の客を飲み込んであたりの空間までを支配してしまった。
わたしはといえば大きな異物が頭のなかにできたようでじゃまでしかたがない。彼らが私の頭のなかで議論しているので自分の思考に集中できない。
結局老人は探偵に依頼をしなかった。探偵に対する猜疑心が勝利したらしい。その猜疑心をもう少し前に別の状況で生かしていたら大枚を失うことはなかっただろうに。
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by hatano_naoki | 2011-07-26 18:43 | 日日
線量計つき携帯を持つ明日
簡易線量計つきの携帯は売れるかもしれない。線量計がカメラのように携帯に必須の機能になる明日はきてほしくないが。
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by hatano_naoki | 2011-07-26 17:09 | 日日