沖縄勉強ノート(52)嘉手納ラプコン
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ラプコン(RAPCON)とはRadar Approach Controlの略。嘉手納(かでな)ラプコンとは嘉手納基地によるレーダー進入管制をいう。
図を見てもわかるとおり、沖縄の空は完全に米軍によって支配されている。
嘉手納ラプコンは嘉手納基地を中心とする半径50海里(92.6キロ)、高度20,000フィート(6,096メートル)の空域と、久米島を中心とする半径30海里(27.78キロ)、高度5,000フィート(1,524メートル)の空域からなる。
那覇空港の管制権限は笑ってしまうほど小さい。具体的には半径約5キロ、高度約600メートルしかない。
まるで琉球政府と米民政府の関係がそのまま温存されているかのようだ。
沖縄本島周辺の全空域では民間機も軍用管制である嘉手納ラプコンに従わなければならず、那覇空港を離発着する民間機はラプコンの高度制限のために空港周辺で低空飛行を強いられる。具体的には、北向きに離陸する場合は高度300m以下、南向きに離陸する場合は高度600m以下に制限される。また那覇に近づく民間機は国土交通省那覇航空交通管制部による管制、米軍による管制(嘉手納ラプコン)、さらに那覇空港の進入管制を受ける。こうした複雑さも問題となっていた。
嘉手納ラプコンは沖縄返還協定に基づいて設定され、米軍が暫定使用することが定められた。その後長期間にわたって返還されなかったが、2004年12月10日、日米両政府は「概ね3年後にラプコンを返還する」ことで合意した。その直後の12月15日より管制官の訓練に入ることも定められた。現在嘉手納基地内で訓練が進んでおり、最終的に40名が習熟訓練を受けるという。
現在は嘉手納ラプコン=沖縄進入管制空域の支配下に嘉手納、普天間、那覇、久米島の各飛行場の進入管制がある。この全体を嘉手納にある進入管制所でコントロールしている。返還後は、沖縄進入管制空域は民間空域となり、その下に嘉手納、普天間のふたつの米軍基地と那覇、久米島の各民間飛行場の進入管制が存在することになる。
私の感覚では、軍用機が民間の航空管制に従うのは平時ですら無理だと思われる。軍というものは本質的に超法規的存在であり、軍の利害と民間のそれとは一致しにくいはずだ。
基地は強烈な実在感を放つ"施設"だが空域は見えない。沖縄には24の訓練空域があり、関東には広大な横田空域が存在する。同じように"見えない占領"が他にもあるはずである。

2006年03月13日の追記。
同日の朝日新聞によると、羽田空港の拡張によって離発陸機が現在の1.4倍に増える2009年までをめどに横田空域南側を中心にした最上部が返還されるらしい。
記事
離陸後の不自然な急上昇など横田空域の迂回による経済的損失とニアミスの危険を少なくするためとされているが、同時にこの空域を米軍が長期にわたって手放さないに違いないというふうにも読める。
余談だが、羽田拡張でなく成田空港の新設が決定されたのは横田空域の圧迫が遠因だというウワサがある。横田空域が設定されているのは横田基地があるからで、以前から議論されている横田基地返還が実現するならば横田空域は自動的に消滅する。
羽田を離陸した飛行機が東京湾上を大きく旋回しながら高度を急激にあげてゆくのはちょっとしたスペクタクルだが、それは横田空域という壁を乗り越えるための助走だったのだ。

嘉手納ラプコンの移管イメージ図
日本周辺の飛行情報区(FIR)及び管制部管轄区域
太平洋地域のFIR
沖縄周辺の米軍訓練空域・水域(沖縄大学土田研究室ホームページ)
横田空域に関する東京都の資料

(図:嘉手納ラプコン)
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by hatano_naoki | 2006-03-11 01:37 | 沖縄勉強ノート
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