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試行百編
沖縄の本を書き始めることができずに時間だけが過ぎていく。本のイメージ、スタイル、カテゴリー、文体のいずれも決めることができないというのはかなりの重症だ。あれこれ試作品を作ってはみるが、どれも質が低くて満足できない。これじゃない、と思いながら「これ」を見つけることができない。私の願望は概念的にいうならば私個人の私小説的で旅日記的で感覚的な文章を沖縄の"真実"と結びつけることだ。真実とはおおげさだが、いわばステレオタイプを排除したあとに残る沖縄の像のことだ。沖縄はステレオタイプにまみれているというのが私の理解であり、さまざまの固定的な観念、通念化した誤解、根拠のない決めつけ、商業主義、観光キャンペーンといった要素を排除しながらいくらかでも降りていきたいのだ。
すこし落ち着く必要があるのかもしれない。何をどう書くかを心を澄ませて考え直すべきだと客観的にみて思う。
結局のところ、私の沖縄に対する関心、問題意識、心の中の像、伝えたいもの、受け取ったもの、それらが弱いのかもしれない。それはまだ書く時期ではないということでもある。
ああ思いこう思い、行きつ戻りつしながら考える。
書くことで書く時期を呼び寄せるということもある。書かなければなにも始まらないということもできる。つまずきながらでも書かなければならない状況に自分を追い込んでいるきらいもある。
書きながら下手だなと思う。しかしそれでも書かないよりもマシだと考えてもいる。
これでいけると思えるまで、絶望に似た時間が続く。
by hatano_naoki | 2007-04-07 20:33 | 沖縄勉強ノート
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