沖縄勉強ノート(122)クバ
クバとは沖縄で蒲葵(びろう)のこと。
学名は"Livistona chinensis"、和名ビロウ、ヤシ科ビロウ属。原産地は中国南部、台湾、南西諸島など。常緑高木で高さは3~15メートル。葉は全体として円形で直径は1.5~2メートル。
Wikipediaでは「ビロウ」の項目で「葉は掌状に広がる。ワシントンヤシにも似るが、葉先が細かく裂けて垂れ下がるのが特徴である」といっているが、葉先が折れて垂れ下がっている様子は確かに特徴的であり、いくらかおどろおどろしくもある。
3~4月に黄色の花をつける。果実は長さ約1.5センチメートルで、10~12月に黒色に熟する。若い芽は食用になる。葉を乾燥させて屋根を葺く材料にしたり笠を作ったりさまざまに使われていた。身近で日常生活に溶け込んだ植物であると同時に聖性の高い植物。同様に聖域とかかわりの深いクロツグも沖縄ではよく見られる植物だ。このへんに古代的雰囲気を感じたりもする。
やんばる」というウェブサイトにはクバの形態がわかりやすい写真がある。
久高島の北部にはクバの森がある。かつては島全体がクバでおおわれていたという。伊平屋島北端の田名崎では山全体がクバの原生森で覆われており、県指定天然記念物になっている。
クバは祭祀においてももっとも多用される植物といわれる。また昔の時代を言い表す「蒲葵ぬ葉世(くばぬはゆ)」ということばもある。クバの森は沖縄の原風景のひとつだといっていいだろう。
沖縄の文化や信仰と植物は深いかかわりを持っているようだが、クバはとくに聖性と深いかかわりのある植物であって、うたきではしばしばクバが見られる。聖域にクバがあるというより、かつてはクバがどこにでもあり、結果的に聖域にも存在したといったらいいのだろうか。いずれにせよ、クバは霊威が高く、さまざまな祭祀に用いられた。
在野の民俗学者、吉野裕子は著書『扇 性と古代信仰』の中で、クバの葉が扇の起源だとしているが、沖縄の信仰について、うたきの構成は女陰をイメージしており、これに対してクバの幹は男根のシンボルだといっている。それゆえにクバが神木となったという。
古代天皇制においてもクバは神聖なるものと考えられていたという。またうたきは神社の祖形だといっているが、これについてはほかの研究者の見解も知りたいものだ。
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by hatano_naoki | 2007-05-29 19:58 | 沖縄勉強ノート
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