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わたしと書くこととのはざま
ここしばらく、いくらかあわただしくすごしてきたこともあって、気がつくと文章を書くことがすくなくなっているのだった。
当たり前の話だが文章を書くということはひとつの集中で、一定のエネルギーを必要とする。書くことの減少がエネルギー総量の低下によるとしたらちょっと怖い。一方で書くべきテーマとそのスタイルに迷いがあって、それが原因だという気もする。こちらはさらに困ったことで、いつまでたってもスタイルが定まらないのなら書くのはやめてしまえ、というくらいの深刻さだ。
しかしまだあきらめるところまではいっていないので、私が落ち着けるあるスタイルがどこかにあるという一種の桃源郷幻想を維持しつつ、ああでもないこうでもないと思う午後がある。
ちょっとした思いつきとしては、一枚の写真と短かめの文章を組み合わせたたくさんの項目からなる読み物はどうかというのがある。こういう構成があってもいいと思うし、なにやら楽しげだ。書くことについてのリハビリテーションとしていいかもしれない。
考えてみると、短い文章の集まりからなる本というのは私に向いているのかもしれない。ずっと前に最初に作ったのはパソコン通信の手引きのような本だったが、その本はたくさんの小項目からなっていた。
私がこれまでに書いてきたテーマを振り返ってみると、まずパソコン通信関連、つまり電子的なネットワーキング関連の一群の本がある。それらは基本的にネットワーキングそのもの、つまり電子的に構築されたひととひととのネットワーキングのしくみの上でのコミュニケーションそのものをテーマとしていたはずだし、このテーマは私の中では今でも生きている。
それからカンボジアがある。最初にカンボジアを訪れてから今年が十年目だが、このテーマには一時期とりつかれたようになっていたし、その結果三冊の本を生み出した。今はすこし距離をおいて見ているが、いってみればギアチェンジの時期だという気がしている。
商業出版としてはパソコン通信関連が最初だったが、それ以前に二十代のころに自費で小さな本を作ったことがあった。それはインドへの旅について綴った旅行記だった。私はここに戻ろうとしているのかもしれない。旅行について書くことはひとつの夢であるので、これを実現させたいとここしばらく思っている。旅で野垂れ死にしたいと願っている私のような人間には旅を書くことは運命みたいなものだ。
ともあれ書かないことにははじまらない。遅々とした歩みがはじまった。
by hatano_naoki | 2008-02-12 00:40 | 日日
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